「硬いものを食べれば歯が強くなる」は本当?歯科医が教える正しい噛み方の常識

「硬いものをよく噛むと歯が丈夫になる」と昔から言われていますが、果たしてこれは真実なのでしょうか。確かに噛むことは体に良い影響を与えますが、硬い食べ物が必ずしも歯にとってプラスになるとは限りません。
この記事では、歯科医の立場から“硬いものと歯の健康の本当の関係”を分かりやすくご紹介します。正しい知識を身につけて、毎日の食生活に役立ててみてください。
目次
「噛むこと」そのものがもたらす健康効果
まず押さえておきたいのは、硬さにかかわらず噛むという行為自体に多くのメリットがあるという点です。
噛むことによる代表的な効果:
唾液の分泌を促し、虫歯や歯周病のリスクを下げる
顎の筋肉を刺激し、咀嚼力や表情筋の維持につながる
脳への血流を活発にし、集中力や記憶力に良い影響を与える
成長期の子どもでは、顎の発達を助ける役割もある
つまり、「噛む=体と口の健康に良いこと」なのは確かです。ただし、「硬ければ硬いほど良い」という考え方は誤解を招きやすいのです。
「硬いもの=歯が強くなる」は誤解
硬い食品を食べると歯そのものが鍛えられる、と考える方は少なくありません。しかし、実際には歯を筋肉のように鍛えることはできません。
硬い食品が必ずしも良くない理由:
歯や被せ物、詰め物に強い負担をかけ、破損の原因になる
歯ぐきが弱っている人や高齢者では、かえってリスクが高い
強く噛みしめることで、歯に細かいひびが入ることもある
このように、噛むこと自体は良い習慣ですが、過度に硬い食品を日常的に噛むことはトラブルにつながる可能性があります。
特に注意が必要な食品の例
日常生活でよく目にする食品の中には、歯を傷めるリスクが高いものもあります。
歯科医が注意を促す食品:
氷をかじる習慣
スルメや煮干しを硬いまま丸ごと噛む
フランスパンの耳を勢いよく噛み切る
堅焼きせんべいを奥歯で砕く
骨そのものを噛む癖
これらは一時的に「よく噛んだ気分」になりますが、歯や詰め物を傷めるリスクが非常に高いため注意が必要です。

歯にやさしい「噛むトレーニング」食材とは
では、硬すぎず噛む力を養える食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。
おすすめの食材:
ごぼう、れんこん、にんじんなどの根菜類(火を通して食べやすくする)
枝豆や大豆、ナッツ類(丸ごとかじらず、一粒ずつ噛む)
ひじきやきんぴらなどの繊維質を含む和食
小魚など適度な噛みごたえのある食材
玄米や雑穀ごはんなど、咀嚼が必要な主食
このような食品は、噛む回数を自然に増やし、咀嚼力を高めつつ歯や歯ぐきへの負担を抑えることができます。
大切なのは「硬さ」ではなく「習慣」
歯を守る上で重要なのは、硬さそのものではなくよく噛む習慣です。
・1口ごとに20〜30回噛むよう意識する
・左右の歯をバランスよく使う
・早食いを避け、ゆっくり咀嚼する
こうした日常の工夫が、虫歯や歯周病予防、顎の安定、認知症予防にもつながります。
まとめ:「硬いもの神話」に惑わされないことが大切

「硬いものを食べれば歯が強くなる」という考え方は一部の側面では正しいものの、全員にあてはまる健康法ではありません。
特に以下のような方は要注意です。
被せ物や詰め物が多い方
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方
歯周病のリスクが高い方
矯正やインプラントの治療中の方
自分に合った「噛む習慣」を身につけることこそが、歯の健康を守るポイントです。疑問や不安がある場合は、ぜひ歯科医院に相談してみてください。

医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック京田辺花住坂
院長 大毛 翔吾





